1分で読む現代語訳・徒然草

皇室の歴史を感じる第23段
「衰へたる末の世とはいへど」

 徒然草・第23段
      ◇衰へたる末の世とはいへど

  • 評論故事
    天皇が住まう内裏についての兼好の見解

  末法の今の世とはいえ、やはり天皇が住まう内裏の神々しい様子は世間ずれせず立派である。各部屋や門の名もすばらしい響きに聞こえ、身分が低い人の家にもあるような調度品の名前も内裏にあれば高貴に聞こえる。

  「部屋に寝所を設けよ」という命令も素晴らしく、天皇の寝室で「早く灯を点けよ」と言うのも良い。公卿が政務をこなす姿はもちろん、下っ端の役人たちが得意顔で慣れた様子でいるのも趣きがある。極寒の夜、そこかしこに居眠りしてる姿もおもしろい。
  「女官が鳴らす鈴の音は素晴らしく優雅だ」と太政大臣・藤原公孝(ふじわらのきんたか)が仰っていた。

灯り

 徒然草・第24段
      ◇斎宮の野宮におはしますありさまこそ

  • 評論
    神社もまた素晴らしいのです

  天皇の代変わり毎に伊勢神宮に仕える皇女である斎宮が、伊勢へ向かう前に住まう野宮(ののみや)は、優雅で興趣の極みである。「お経」や「仏」という言葉を「なかご」「染め紙」と言い換えるのも趣きがある。
  神社は、見捨ておけず優雅なものだ。年月を経て古くなった鎮守の森もただならぬ趣きで、神殿の周囲に垣根を巡らせて榊の木の枝に木綿を架けている様子は素晴らしくないわけがない。
  特に素晴らしい神社は伊勢神宮、賀茂、春日、平野、住吉、三輪、貴船、吉田、大原野、松尾、梅宮の各神社である。

鳥居
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