徒然草・第35段
◇手のわろき人の
手癖が悪い人、という意味ではありません
字が下手な人が、気にせずに手紙をたくさん書くのはいいことだ。字が下手だからと言って、人に代筆させるのはいやらしい。
徒然草・第36段
◇久しくおとづれぬ比
女性の気遣いについて
長らく訪ねてない女性が、どれほど恨んでるだろうかと、自分の怠慢を反省して何もかける言葉が見つからないときに、女性の方から「手伝ってくれる人がいたら、ひとり寄越してください」などと言ってきてくれるのは、思ってもみないことで嬉しいものである。
そんな気遣いのできる女性が良いのだ、と人が言っていたが、そのとおりだろう。
徒然草・第37段
◇朝夕隔てなく馴れたる人の
友人を見直すふとした瞬間の話
普段から隔てなく親しくしている人が、ここぞの時に私に気遣いをして、バシッと決めた恰好でいてくれる様子は「今更そんな」と言う人もあるが、やっぱり本当に誠実な良い人なのだと思える。
さほど親しくない人が、うちとけたことを言ってくるのも、また良い人なのだと惹かれるものだ。